TOTOのメーカーとしての本音――「いま、現場で何が起きているのか」

中東情勢の影響により、TOTOのシステムバスが受注停止になった——そんなニュースが4月以降、メディアを通じて広がりました。「お風呂はもう手に入らないのか」「トイレも止まるのではないか」。一般のお客様だけでなく、工務店様や設計事務所様からも、不安の声が多く寄せられています。

実際のところ、いま現場では何が起きているのか。TOTOのご担当者様に、メーカーとしての率直なお話を伺うことができました。報道だけでは見えてこない「現場の本音」を、できる限りそのままお届けします。

TOTO株式会社 北関東支社 群馬営業所にて撮影

 

 

「受注停止」という言葉が一人歩きしている

 


――本日はお忙しいなか、ありがとうございます。
中東情勢の影響でかなり厳しい、というニュースを目にする機会が多くて、いまTOTOさんの製品供給はどういう状況なのでしょうか。


担当者様:「ご質問ありがとうございます。まず、いちばんお伝えしたいのは――
いま、TOTOは受注を停止していません。これははっきり申し上げたいところです」

――え、そうなのですね。ニュースでは『注文ストップ』みたいに流れていたので、
てっきりまだ止まっているのかと思っておりました。

担当者様:「そう思われている方、本当に多いんです。確かに、4月13日にシステムバスの受注を一度止めさせていただきました。これは事実です。当社の公式ホームページでも、その時点でオフィシャルに発表しています。SNSやYahoo!ニュース、NHKでも報道されましたから、その印象が強く残っている方が多いのだと思います」

――たしかに、私もそのニュースを見た記憶があります。

担当者様:「翌週の4月20日からは段階的に受注を再開しており、すでに1か月以上、受注は動いている状態です。それなのに『TOTOは受注停止中』という情報だけが、いまも独り歩きしてしまっている。これがメーカーとして、いちばん歯がゆいところです」

 

 

供給量は「マックス時の半分」。でも、止めなかった

――とはいえ、再開されているということは、供給は通常に戻りつつあるのでしょうか。

担当者様:「いえ、正直に申し上げると、いまの供給量は、マックスのときの半分くらいです。5割程度しか出せていない。これが現実です」

――半分ですか。それは厳しいですね。

担当者:「ええ、厳しいです。以前は、特約店さんがその場で注文を入れてくださって、すぐに納期をお出しできる体制でした。でも、いまの供給量でそれをやってしまうと、もう収拾がつかなくなる。だから運用を根本から変えました。」

――具体的には、どう変えられたのですか。

担当者様:「いまは、昔ながらのアナログのやり方で、一件一件、当社で手作業で入力しています。手間はかかりますがそれでも受注は止めない。これがメーカーとしての私たちの選択でした」

――一件ずつ手作業、ですか。それは大変な作業量ですよね。

担当者様:「大変です。でも、止めてしまうと、本当に困っているお客様にお届けできなくなる。だから、どんなに手間がかかっても、受注は継続する。ここはこだわった部分です」

――その姿勢、現場の方の覚悟を感じます。

担当者様:「ありがとうございます。私たちにできることを、できる限りやる。それだけです」

 

 

「トイレは大丈夫」。ただし、流通の目詰まりは起きている

TOTO株式会社 北関東支社 群馬営業所にて撮影

――お風呂以外の商品、たとえばトイレなどはいかがですか。やはり影響が出ているのでしょうか。

担当者様:「トイレを含むその他の商品については、前年並みの供給量は確保しています。ここはご安心いただいて大丈夫です」

「ただ、正直に申し上げると、お風呂がこういう状況なので、他の商材についても市場が動いてしまっています。『今のうちに在庫を確保しておこう』という動きが、流通全体で出てきている。これが、需給を逼迫させる新たな要因になっています」

 

――なるほど、連鎖的に広がっているのですね。

担当者様:「はい。トイレは本来、在庫商品なんです。普段なら問題なくお届けできる。でも、過剰に在庫を抱え込まれてしまうと、本当に必要な現場に行き渡らなくなる。これがいちばん怖いところです」

――そうなると、御社としてはどう対応されているのですか。

担当者様:「出荷をある程度コントロールさせていただいています。故障で緊急に入れ替えが必要なお客様、工期が決まっている新築やリフォームの現場——そういった目に見えている、実需のある現場を優先しています」

 

――優先順位をつけざるを得ない、ということですね。

担当者様:「はい。もちろん、すべてのお客様が大切です。優先順位をつけること自体、本当はメーカーとして心苦しいです。でも、限られた供給のなかで、本当に困っている方に届けるためには、こうせざるを得ない。ここはどうかご理解いただきたいところです」

 

 

「煽る情報」が、いちばんの敵

――お問い合わせも、かなり多いのではないですか。

担当者様:「ありますね。『いつになったら出るのか』というご質問が、毎日のように入ってきます」

――そのときは、どうお答えされているんですか。

担当者様:「変に期待を持たせるお答えはできません。憶測でお話しするわけにもいかない。だから、いまはSNSの時代ですから、誤った情報がどんどん拡散されてしまうリスクがある——これがメーカーとしては、いちばん怖いところです」

――それでは御社では、情報発信を統一されているということですか。

担当者様:「はい。全社員が統一して、公式ホームページに載っている情報だけをお伝えするようにしています。担当者によって言うことが違うと、それがまた誤情報のもとになる。社内でかなり徹底しているところです」

 

 

メーカーとしての本音――「ナフサ次第」という現実

――最後にお聞きしたいのですが、最終的に供給が正常化するのは、いつ頃になりそうでしょうか。

担当者様:「これは正直にお伝えしますと、最終的には、ナフサ(粗製ガソリン)の供給がどうなるか——ここにかかっています。ナフサがある程度出てこないことには、根本的な解決にはなりません」

――ナフサ、ですか。

担当者様: 「はい。これは当社に限った話ではなく、他社さんも状況は同じだと思います。業界全体の課題です」「現在は、政府との連携も含めてできることを一つひとつ進めているところです。本当に困っているお客様のもとへ、一日でも早くモノを届けたい——その思いを最優先に、引き続き取り組んでまいります」

――本日はお忙しいなか、本当にありがとうございました。

担当者様:「いえいえ、こちらこそ。正しい情報がきちんと届くことが、いまいちばん大事だと思っていますので。こうして取り上げていただけるのは、本当にありがたいです」

 

 

〈 最後に 〉

ご担当者様のお話を伺いまして、ニュースの見出しだけを追っていては見えてこない「現場の本音」がたくさんあるということでした。

 

「受注は止めていません」「一件ずつ手作業で対応しています」「本当に困っているお客様に届けたい」——担当者様が繰り返しおっしゃっていた言葉の一つひとつに、メーカーとしての覚悟と誠実さを感じました。

 

供給量がマックス時の半分という厳しい状況のなか、それでも止めずに続けている現場の方々がいる。「いつになったら出るのか」というお問い合わせに対しても、変に期待を持たせず、誠実に対応されている。

そういった姿勢を知るだけで、状況の見え方が少し変わってくるのではないでしょうか。

 

リフォームや設備の入れ替えをご検討中の方にとって、「今がどんな時期なのか」を知っておくことは、決して損にはならないと思います。とはいえ、状況は日々変わりますので、各メーカーの詳細な仕様や最新の在庫状況については、事前にメーカーや販売店にご確認されることをおすすめします。

 

製品の供給状況については、TOTO公式ホームページおよび経済産業省のホームページにて、最新かつ正確な情報が公開されています。

 

《公式情報について》

TOTO公式ホームページ(TOTOからの重要なお知らせ)
経済産業省ホームページ

 


〈 取材協力 〉
TOTO株式会社 北関東支社 群馬営業所 ショールーム

このたびは、ご多用のなか貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。 供給状況という難しい話題にもかかわらず、現場の実情とメーカーとしての率直なお考えを、丁寧にお聞かせいただきました。心より御礼申し上げます。

 

ぜひ、ご自身の目でお確かめを頂いて。
ご質問やご感想はお問合せフォームまでお寄せ下さい。