排水から嫌なにおいが上がってくる ── 夏のトラブルと対処法
夏の暑い時期におうちの中で気になるトラブルの一つに、水回りからの「嫌なにおい」があります。今回は、洗面所や台所、お風呂場などから上がってくる不快なにおいについて、その仕組みとご自身でできる対策、そして専門家(専門業者)へ相談する目安を現場の視点から冷静にわかりやすくお伝えします。

1.よくある困りごと:おうちに帰ったときの「ツンとするにおい」
夏休みなどで数日間家を空けて帰宅したときや、ふとした瞬間に、お風呂場や洗面所、キッチンから下水のような嫌なにおいが漂ってきた経験はありませんか?
しっかりお掃除しているはずなのに、どこからにおいが上がっているのか分からず、困惑してしまうことも多いものです。実はこのトラブル、夏の暑さや長期の外出が増えるこの時期に非常に起こりやすい現象といわれています。
2.なぜ起こる?── においを防いでいるのは「水のフタ」
私たちの暮らしを影で支える水回りには、目に見えないところでにおいを防ぐ優れた仕組みが備わっています。
(においを遮断する仕組み)
洗面台の下にあるP字に曲がった排水管や、キッチン・お風呂の排水口の奥には、常に一定量の水が溜まる「トラップ」という構造が作られています。ここに溜まっている水のことを「封水(ふうすい)」と呼びます。この水が壁(フタ)の役割を果たすことで、下水管からの不快なにおいや虫が室内に上がってくるのを防いでくれているのです。

つまり、においが上がってくるときは、この「水のフタ」のバランスが崩れている可能性が高い、ということなのです。夏場に多い原因として、現場では次の3つが挙げられています。
① 暑さによる「水の蒸発」 高温の中で何日も水を使わずにいると、トラップ内の封水が蒸発して空っぽになり、下水のにおいがそのまま上がってきてしまいます。
② 髪の毛による「毛細管現象」 排水口に髪の毛やゴミが引っかかっていると、髪の毛を伝って水が少しずつ吸い上げられ、封水が減ってしまうことがあります。水を使っていないのに封水が抜ける、というケースはこれが原因のことも多いようです。
③ 雑菌や汚れの繁殖 夏は食べ物のカスや油汚れ、カビが繁殖しやすい季節でもあります。パイプの中に蓄積した汚れが酸化してにおいを引き起こすこともあります。
【集合住宅の特殊なケース】空気圧による引き込み
マンションやアパートでは、各階の排水が共通の太い縦管に合流して流れています。他の部屋で大量に水が流れた際の空気圧の変化により、自分の部屋のトラップ内の水が引っ張られて吸い込まれてしまう(封水が持っていかれてしまい)においが発生することがあります。
「掃除の問題ではなかった」という例も、集合住宅では珍しくないようです。
3.自分でできること:お出かけ前後の対策とお掃除のコツ
においを防ぎ、快適な空間を保つために、実際にはご自身で対処できるケースが大半ですので、現場の技術者が勧めているという方法を、いくつかご紹介します。状況に合わせて試していただければと思います。

対策①:お出かけ前後に「水をしっかり流す」
夏休みなどで数日間家を空ける前には、台所や洗面所、お風呂、トイレなどの各排水口にコップ2〜3杯程度の水を注ぐか、一度水をしっかり流してから外出するようにしてみてください。これにより、留守中に封水が干上がるのを防ぐことができます。また、帰宅した際にも、まずは一度すべての水回りに水を勢いよく流して、新しくて綺麗な封水をしっかりと溜め直すことがポイントです。
対策②:ヘアキャッチャーや網のゴミ・髪の毛を取り除く
髪の毛を伝って封水が抜けるのを防ぐため、排水口のヘアキャッチャーや目皿に溜まったゴミはこまめに取り除いてみてください。
対策③:古い歯ブラシを活用した細かいお掃除
排水口のヌメリやカビが気になるときは、市販のカビ取り剤や洗浄剤スプレーなどでお手入れするのも有効です。その際、スポンジでは届きにくい細かい網目やパーツの隙間には、古い歯ブラシを使うのがおすすめ。歯ブラシを使うと、細かい部分の汚れを驚くほど綺麗に落とすことができますよ。
4.プロに頼む目安 ── こんなときは配管の奥の問題かもしれません
ご自身で水を流したりお掃除を試したりしてもにおいが消えない場合や、以下のような状況のときは、配管の奥でのトラブルや集合住宅全体の不具合の可能性がありますので、無理をせずプロの技術者にお任せください。
・水を流しても、すぐ「コトコト」「ゴボゴボ」と音がして封水が消えてしまうとき
集合住宅の排水配管全体の空気の流れを調整する「通気装置」の不具合などが考えられますので、これは個人での対処が難しい領域です。
・市販のパイプクリーナーを使っても流れが悪く、詰まって溢れそうなとき
配管の奥に頑固な油汚れや異物が詰まっている可能性があります。この段階になると、専用のワイヤーブラシや専門の洗浄剤による洗浄・除去が必要になる領域です。
排水の嫌なにおいは、まずは「水をしっかりと流して封水を満たすこと」と「簡単な排水口まわりのお掃除」で解決できるケースが多いので、長期間のお出かけの際には、ぜひ出発前の「お水流し」を習慣にしてみてくださいね。
それでもニオイの原因が解決しない場合は、排水パイプ専門業者にお問い合わせください。

