下山の思想

なかなかブログ更新が出来ず、アッ!という間に令和になって3ヶ月が経とうとしています。

令和になった早々に10連休もあれば、5月~7月は様々な会の総会など行事が目白押し。
外回りの仕事も多く、あちらこちらを飛び回っておりました。m(_ _;)m

そのような状況で、人前に出ることも多いことから。先月、なじみの床屋さんで「夏向き」のショートカットにしてもらった時ですが。いつも髪を切ってくれる店員さんから「最近、何か小説とか読みましたか?」ときかれて。どう思い出しても、この20年くらいで片手もいかない?最後に読んだのいつという記憶もないことに気づきました。

ビジネス関係の本は、大好きで。常時、2~3冊は持ち歩いていて。波があるものの、平均すれば月に3~4冊は読んでいると思います。しかし小説の類(たぐい)がない。著名な作家の方の作品も、賞を取るようなベストセラーも縁がなく。小説オンチ、というか門外漢というか。決して嫌いではないのですが、手に取らない年月が続いています。

そのような私が、取り上げるのもおこがましいのですが。
作家・五木寛之先生の対談記事から、次のような言葉が心に刺さりました。

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私は昔から「下山の思想」ということを盛んに言ってきたんですけど、
山を登っていく時の姿勢と、下りていく時の姿勢では重心のかけ方も違いますし、
見ている世界も違いますよね。

必死で登坂(とはん)している時は頂上を見ているだけで、
他のことは考えられませんけれども、
下山は一歩一歩踏みしめながら、優雅に下っていける。

昔のことに思いを馳せることもできるし、遠くを眺めて、
あぁ町がある、村がある、海が美しいって
感動しながら下りていくこともできる。

下山には、登りの時には味わえないそういう喜びもあるんです。

〇    〇    〇    〇    〇    〇    〇

なるほど。山登りといえば、もう20年も前の事ですが。お世話になっている大先輩に誘われて、山に登ったことがぜんぜんない身でありながら。整備された登山道があるとはいえ、4000mを超える山に登った経験があります。

当然ながら、登りは高山病に苦しみ山頂近くの山小屋でダウン。それでも山頂に立ち、どうにかご来光を拝めたのですが。下りは、足の痛みに苛(さいな)まれて。下りることに必死で、景色など楽しむ余裕のカケラもありませんでした。しかし無事に下界へ降りた時の達成感は、何ごとにも変えられないものがありました。

そして五木先生の「下山の思想」のお話を目にした時、このような私のつたない登山経験を思い出して。仕事やビジネスというものも、登山と同じ感覚ではないか?と。ふと、思いました。

たとえば「下山の思想」と同様に。仕事やビジネスも、上り調子や登ろうとする時は。目標という山頂を見つめ、前へ重心をかけ、前のめりに進んでいく。他のものや周囲もよく見ていない。しかし下り調子や目標を達成して下りる時は。過去を振り返り反省したり、成功体験を思い出したり。また周囲もよく見えて、考えも広がりやすく。遠い景色やいろいろな美しい風景、次の目標や他の目標を見通す感覚も持てる。

その上で、私のように登山経験もなく。登りも下りも楽しんだり、ふり返ったり、周囲を見回す余裕がなかったりした者でも。グチや不満や不安だらけの時間だったとしても。山頂に立ち、無事に降りてくる。ビジネスや仕事なら目標が達成できた、成功した。その時の達成感は、いまだ登ったことのない高い山、達成できなかった高い目標ほど。大きく、深くなっていく。

このような感覚になるのが、登山やビジネスではないか?と思いました。

おかげさまで当社も、株式会社として法人化してから69年が経ちまして。6月から69期目の新年度が始まりました。今期中の令和2年1月には創業から99年、また令和2年6月からの次年度には設立70年となるわけですが。このような長い歴史を刻んで来られたのも。お客様をはじめ多くの関係者のみなさま、そして社員とそのご家族のみなさんの支えがあってこその年月。本当にありがたいことです。

当社の歴史もまた、登山と同じ。一歩一歩、地道に歩いてきた結果です。これからも一年一年、着実に時を重ねて。創業100年を達成して、次の創業150年を目指して歩いてまいります。そんな想いに駆られた、五木先生の「下山の思想」でした。

ではでは。また。