バーホッパーに休みの前や連休は天国。
BARに繰り出すには良いチャンスだ。
それがサガ、ホッパーと呼ばれる所以。
人生のページにBARと書いた以上、オレは今宵もバーカウンターを目指して街をさまよう。
5月のとある連休。オレはまだ明るいうちになじみのカウンターに身をすべり込ませた。
外がまだ明るいうちから酒が飲める。
これ以上贅沢な時間はない、と。
ツレと喜びをわかちあう。
「明るいうちから酒なんて・・・」と眉をひそめる人もいる。
ただ。昼飲みが楽しいと感じれば、いっぱしの大人の男になったと言って良い。いや、男や女といった性別は関係ない。酒に強い弱いも関係ない。
もし、あるとすれば・・・。
お子さまか?大人か?の違いだろう。
そんなオレでも、眉をひそめたくなる酒の飲み方は。昼でも夜であろうとも。酒を友とせず、酒に依存しておぼれるような付き合い方だ。
オレはThe Days Of Wine And Roses の軽やかな音色と裏腹なムービーストーリーに足を踏み入れる気はさらさらない。
酒は飲むものであって、飲まれるものではない。
これが。駆け出しの頃、師匠であるベテランバーテンダー氏から耳にした教えの一つ。今のオレには酒飲みとしての矜持の一つである。
もちろん酔うな、飲み過ぎるな、と言っているのではない。
人と人の付き合いにTPO、時と場所と場面があるように。人と酒の付き合いにもTPOがあると言いたいのだ。
さらに誰と過ごしているか?自分が楽しいのは元より。
ツレに不快な想いをさせない。一方、心に爪を潜ませながら・・・。
背伸びして、たとえ爪先立ちであっても紳士や淑女的な態度をとる。
もしこのような機会が増えれば。大人としての階段を確実に一歩上がれる。
自分も楽しく。
相手も楽しく。
酒も喜ぶ。
これがBAR、中でもバーカウンターに座る上で大事な心得。
そして酒場、特にBAR、そのバーカウンターこそ。
男を磨く女を輝かせる最高のステージ。
時には、映画スター気取りで過ごすのも大人の楽しみ方だ。
そんなオレがふと。
偶然にも立ち寄ったBAR。
その店は北陸の古都、繁華街の一角。
宵闇に紛れるように佇んでいた。
【part9へ続く】